変な夢を見た。
とある中東のカフェの真ん中に置かれたテーブルで、男がパンツのポケットから手榴弾を取り出した。ポケットからティム・バックリーのカセットテープがこぼれ落ちた。男はテーブルの上で手榴弾を両手に包むように眺めて、何やらつぶやいている。
それを見た隣の客が「爆弾だ!」と叫ぶやいなや、店内のいる人が椅子やらテーブルをかき分けて、男を震源地とする津波のように出口に向かって激しく流れていった。床に落ちたテープは踏まれて砕けている。
一人の少女が「それ何?」と男に尋ねた時は、すでに客は一人も残っていなかった。男はうつむき加減に答えた。
「爆弾だよ」
「爆弾って何?」
「大きな音を立てて、熱い風を吹かせて人を殺すものだよ」
「ふーん、じゃあね」
少女は興味の対象を失って、店を出て行った。
男も店を出て、少女とは別の方角へ歩いて行った。その後ろから、猫背の少年がついて行った。
少年は男に追いついて「それは手榴弾でしょ?」といった。
「ああ、そうだよ」と男はいった。
「そんなものもってどこへいくの?」と少年。
「亜左度のところさ」
「僕のお父さんと、妹の敵をとってくれるんだね」
「そうだよ」
「名前おしえてくれよ」
「じゃっくだにえる」
「おれっちの手に書いてくれよ」
少年は手を出した。男は名前を書いた。手が揺れるので手間取った。
「親孝行してるか? 少年!」と男は書きながら尋ねた。
「するよ」といいながら少年は手榴弾のピンをこっそり抜いた。
「いつやるんだい?」
「今でしょ!」というと少年は手榴弾のピンを高々と空へ突き上げた。
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