映画『タクシー・ドライバー』は私の脊髄である。ディレクション、シナリオ、アクティング、ミュージック・・・すべてが身体の中枢に張り巡らされていて、私を常に目覚めさせている。
トラビスが撃ち抜いたのものは、私の煩悩である。清廉潔白を求めるゆえに辿り着いてしまった青年の自力救済ヴァイオレンス。そこへ駆り立てる喝采すべきピュアネス。二つの間でギアはニュートラルに落とされる。やがて静かに再びのハンドルを切り始める。テールランプから滲む青年の焦げついたプライドが、香ばしく仄かな気品を漂わしてマンハッタンの闇に消えていく。
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