2014年11月23日日曜日

月明かりの中で

故郷の信州に戻って二ヶ月が過ぎようとしている。月光が降り注ぐ小高い霊園の駐車場に車を止め、住み慣れた街の灯りを眺めている。過ぎ去った夏の輝きは彼女の笑顔そのもので、寒さに震える故郷の夜景が、その明かりを絶やさないでいるのも、その笑顔に満ちた夏の余韻のお陰だろうと、眼前の景色をすべて自分のものにして満足している。

そんな夜の煌めきに包まれた、宙に浮いているかのような車の中で、私たちはキスをしまくる。大人の恋愛に余計な飾りはいらない。今を燃やし尽くして、生の儚さに涙すれば、あらゆる失敗も悔しさもすべて報われる。月明かりに照らされる彼女の美しさは月そのものであり、汚れなき今、そして未来しか照らさない。心は身体になり、身体は心になる。

色づき終えて舞い落ちる葉っぱに、古い自分を重ねながら、遅い春の梟になって月光の下を飛び立ってゆく。

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