2013年10月16日水曜日

きれいな空がみたいだけなのに


When once you have tested flight, you will forever walk the earth with your eyes turned skyward, for there you have been, and there you will always long to return.
一度でも空を飛ぶことを味わったら、この先ずっと空ばっかり見上げて歩くだろうね。いつだって、その忘れられない空へ帰る夢をみるのさ。
by レオナルド・ダ・ヴィンチ


小山田壮平の広い胸は汗にしみるTシャツがよく似合う。その逞しい肩で風を切りながら甘酸っぱい汗を飛ばして駆け抜ける疾走感が、ほんのりと尾崎豊であり、草原を駆け抜ける俊馬のごとき野生と、清々しい瞳がリバー・フェニックスを思わせる。

時代は変われど、シーンに媚びない突き抜けたアティチュードこそ、今を生きる僕らの血生くさいフレッシュな喜びである。粋美な音を鳴らす才能には同じ匂いがする。自我を超越して本人さえも制御不能な直感的バックビートが胸掻きむしる歌声を芯でとらえて、青空の彼方へ吹っ飛ばしていく。

尾崎、ジミ・ヘン、ジム・モリソン、ジャニス、シド・ビシャス、リバー・フェニックスはその早すぎる死が悔やまれる。社会的幼さが動物的本能で許す若気の至りによってドラッグに音を借りようとする自然災害は、選ばれし者の宿命なのか・・・。謎めいた死を遂げた志村やカートは何処の空へ旅立ったのか・・・。川へ飛び込んだと聞いて、溺死したジェフ・バックリーを思い出したよ。

才能故に誰よりも早く未踏の領域へ突き進まんとする危うさの匂い。危ういが故に漂う死の香りが皮肉にも永遠を湛える音を生み出す。それは、宮本輝が『錦州』のなかで、「生きていることと死ぬことは同じことで、それを音楽で表している」と表現したモーツアルトの音楽のごとき生死流転の永遠の音律に他ならない。

彼らにめぐり会えた人は幸運だ。今日もどこかで小さな音にこだわって、自己の殻を破れずに悶え苦しむ人がいる。そんな彼や彼女が求めるのなら、アンディモリは一緒に殻を燃やしてくれるのだ。彼らと一緒に空を見上げよう。大航海時代の未だ見ぬ大陸へのロマンさながらに、革新の息吹に溢れたロックンロールに自らの生命を奮い立たせよう。人間賛歌の希望の空へと突き抜ける、ダヴィンチさながらの音のルネッサンスなのだ。生きて生きて生き抜いて歓喜に満ちた死を叶えるための音楽なのだ。


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