2013年1月20日日曜日

チャットモンチー冬景色

 

受験シーズン真っ盛りで多くの若者が夢への第一歩を踏み出す戦いを繰り広げている。社会制度が否応なしに若者をふるいにかけ、青春のはかなさに追い打ちをかける季節が到来している。一方で青春の幻想を木っ端微塵に葬り去る就職戦線で悶え苦しんでいる者もいる。

バブル崩壊後の凍りついた日本社会のふるいにかけられた私は毎朝4時に起床する。先日は外の静けさにただならぬ気配を感じると案の定、冬将軍が辺り一面に上陸していた。効きが悪いエアコンの暖房に愛想を尽かしつつ、凍てついた部屋で着替えを済ましココアだけ飲む。暖機運転不十分で凍てついた車に乗り込み、半ば震えながら凍てついた街へ車を走らせる。冬の朝の戦いは不本意なライフスタイルをとことん思い知らされる。

チャットモンチーが二人になって久しくなる。高橋久美子が脱退して残念だったが、福岡晃子がドラムを叩くユニットになるとは思わなかった。その変身ぶりの何気ないクールネスとタフネスが強さの秘密だと改めて感じた。

思春期の目に輝き映った光景がその人の一生の中心に居座り続けることを悟らせながら、その人の「今」を励まし続けている音楽。その音楽は日本人の心象風景に溶けこむ硬派なセンチメンタルに貫かれている。チャットモンチーは日本のロックシーンにおいて突出した親近感と信頼感に貫かれた「みんなのうた」になり得ている。音のトータルバランスに優れた良識溢れる優等なロックバンドなのだ。

橋本絵莉子の通気性の良い高精度な作曲センスがこのバンドの核心部分である。ルーツ不明で謎めいた佇まいも魅力の一つである。「変身」のジャケットで見つめる色気を帯びた眼差しが謎めく魅力に拍車をかけ始めている。

凍てつくカーステレオから彼女たちの鼓動が伝わってくる。日本語の至近距離でユニヴァーサルなメロディを奏でるロックは効き目が早く、体が直ぐに温まる。通気性がいいので熱がこもらず、適度なクールさを保ちながら聴く者を心地良い高沸へと誘う。轍(わだち)なき白く浮いた路面と私の「今」を重ねながら、地に足つけるハンドルさばきが冴え渡っていく。

受験も就活も常温が大切だ。時に熱く、時に冷静に緩急つけながらも基本は一喜一憂しない温度管理にある。戦いは最後の最後まで諦めてはならない。それを叶える手段こそクールネスとタフネスに裏打ちされた温度管理であり、あらゆる勝負どころを制する秘訣である。

チャットモンチーの音楽は冬の景色がよく似合う。

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