2012年8月31日金曜日

PJハーベイ

Let England Shake: Limited Edition
PJハーベイの初来日ライブを渋谷オンエアWestで観てから20年の歳月が流れた。私にとって人生初のライブだった。

とにかく、ロックンロールだった。バイオリンでも弾くのかと思うような慎ましい雰囲気で登場するや怒涛の如くギターを掻き鳴らす、その華奢だが張りのある肢体に圧倒された。その気品漂うロックンロールは彼女のしなやかな造形美から繰り出されるものだ。ときおり放つ裏声は、目の前でそのドレスを脱ぎ捨てるかのようでもあり、歪曲した世界に対する抗う人間の知性の象徴でもある。低いうねり声も渾然一体となって、うなだれる男をそのまま成仏へと導くかのようだ。

ベッドの中では聴きたくない。腰掛けて靴下履きながらとか、髭剃りに失敗してクリーム塗りながらとか、ドライブインで車のドア半開きで片足出してコーヒー飲みながらとかいった日常のやるせない疲れに浸りながら一歩踏み出して、世の中まだロックでいけると思わせる説得力、深い優しさが漂う音楽である。そんな音楽はニール・ヤングだけかと思っていた。PJハーベイは時代を超えて生き残る本物のアーティストの一人である。

 

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